些細な幸福

今日は、平和に終わる予定です。

今日は、嫌なことが殆どありませんでした。

あまり表向きに良いことでもないのですが、私の腕には自傷痕があります。

あまり表向きに良いことではありませんが、私は隠すことなく仕事をしています。

お客様にもぎょっとされることが多く、スタッフも恐らくは気づいているのでしょう。

あるお客様には『おんなじだ』と腕を見せられたこともあります。

『お揃いですね』と思いつつもそんなことは言えませんから、笑って誤魔化しました。

 

そのお客様のことはその時から覚えています。

きっと忘れることも無いのでしょう。

今日はそのお客様とふとすれ違ったのですが、向こうも私に気づいたようでにやにやしておりました。

私もにやにやと笑い返してみました。

何が起こるわけでもありませんし、挨拶をするわけでもありません。

ふと、道ですれ違っただけですから。

 

でも、そのにやにやと笑われてにやにやと笑い返したことが

今日の私にとってとても良いことだった気がするのです。

 

私からの勝手な仲間意識なのでしょうね。

旦那様以外、この土地には味方などおりません。

そのお客さまも、決して味方ではないのでしょう。

でも私は、そのお客様を見かける度、少しほっとするのです。

 

自傷痕を突っ込まれることは、この土地に来てありませんでした。

元々、突っ込みづらいものではありますし、触れないことがデリカシーなのだと思います。

でも、明らかな嫌悪の対象にはなるのです。

ぎょっとされるし、嫌な顔をされるのです。

 

当たり前ですよね。

私が、自傷痕に寛容な家庭、環境で育ったからでしょうか?

父は私のことを『リスカ大佐』と呼んで、笑い飛ばしてくれます。

姉たちも『あんた酷いね』と笑ってくれます。

私の育った環境は、私に優しかったんだと家族に感謝しています。

 

今は、そのお客様がふと視界に入ることに幸せを感じます。

憂鬱な仕事場において、その瞬間だけが、私にとって有意義なのです。

 

ほんとうのさいわいを探しに

ひとつのさいわいを見つけました